[PR]音楽だけではないレゲエの世界

―第二章 ルロ―


第6話:会合(1)



「皆は、中で適当に寛いでいてくれ。俺は、後から入る」

  ハミュルの家の前に着くと、事情を察したオルトとセシリスが遠慮無く中へ入っていく。唯一、意味を理解していなかったフルン

は小首を傾げてハミュルを見ていると、オルト達に声をかけられる。


ハミュル、どうしたんだろう? 何か用事があるのかな?


  フルンは、ハミュルを気にしつつも、オルト達と一緒にアーチ型の青い玄関ドアを開けて中へ入っていった。一人になったハミュ

ルは、皆が中に入ったことを確認すると、三人の分身を召喚して御遣いを依頼する。

 「フルンの服や家具等、全部買ってきてくれ。二階にある空き部屋の掃除も頼むぞ」

 「本体がそういうなら、俺達に任せておけ」

  ハミュルは笑顔で自分そっくりの分身にお礼を告げて、最後に家に入る。靴を脱ぎ、そのまま開放的なドアとソファーがあるホー

ルを通り抜け、リビングに繋がる木製のドアを開けて中に入ると、フルン達はダイニングテーブルに腰掛けて寛いでいた。

 「あっ、ハミュル! 用事は済んだの? 勝手に座ってるけどいい?」

 「ああ。分身達に使いを頼んだから、フルンはあとで着替えた方がいい。いつまでもパジャマだと流石にちょっとな……」

  そう言いながら、ハミュルは足を進めキッチン横の廊下のすぐ右手にある脱衣所から、ある物を手に取る。それを持ったまま、す

ぐにフルンの所に戻ってくると、その肩に大きなコバルトブルーのストールのような生地を被せてあげた。

 「暫くは、これを使ってろ」

 「あっ……ありがとう。本当にいいの?」

 「ああ。洗濯したまま暫く使っていなかったからな。……今更だが、市場に行く前に手渡しておけばよかったな」

 「うっ……うん」

  ハミュルが苦笑を零しながら告げると、フルンも苦々しい表情を浮かべて軽く頷く。二人の会話を黙って聞いていたオルトとセシ

リスも微苦笑を浮かべていた。

――確かに、ストールがあるなら手渡してやればよかったな。

――そんな余裕すらなかったんだろう。しかし、ハミュルは、やっぱりフルンには優しいな。

――……女の子には、あまり興味が無かった筈なんだが。

  オルトとセシリスがテレパシーでやり取りをしている隙に、フルンはストールを慣れた手つきで体に巻き、ハミュルにお礼を告げ

る。

 「あっ、でもありがとう。それとね、ちょっと聞きたいんだけど……」

  フルンが疑問を口にした途端、玄関のベルが数回鳴り響き、誰だと思う暇も無く、慌しく一人の男性がリビングのドアを開けて大

声で喚く。

 「ハミュル、聞いてくれよー!! セシリスがまたさ……」

  ノックもせずに中に入って来たのは、ターコイズブルーの碧眼に白金色の癖毛ショートをした男性天使だった。見た目は、ハミュ

ルと同じぐらいの年齢のようだ。整った顔立ちをしており、無邪気で優しい雰囲気を纏っている。背中に背負っている宝石が装飾され

たスカーレット色の剣が印象的で、太陽に照らされる度に光を放ち華やかだ。純白の柔らかい大きな羽は、ハミュルと同じで白光して

おり膝辺りまであった。

  白銀髪の天使は、彼を見た途端リビングの入り口付近で足を止めると、青褪めた表情でそのまま踵を返そうとする。オルトとハミ

ュルはすでに苦笑を浮かべており、フルンは事情を知らないが、リュミアの言動に驚いて目を見開いて硬直している。セシリスに至っ

ては、眉間に深く皺を寄せてリュミアを凍えるような眼差しで睨みつけていた。

  セシリスは、部屋の空気が一瞬で凍るような低声で白金色の髪をした彼に問う。

 「……リュミア、俺が何だって?」

 「えっ? あっ……セシリスいたんだ……?! 今日さ、いい天気だよなぁー!! ははっ……はっ……」

  リュミアは、上擦った声と引き攣った顔をしながら、逃げ腰気味にそのまま後退りを始める。セシリスは無言で椅子から立ち上が

り、ゆっくりとリュミアに近づいて距離を詰めて行く。

 「リュミア、俺が何だって? 聞いてやるからそこを動くなよ?」

 「……えっ? 嫌に決まってるだろ!? セシリス、目が笑ってないぞ……!!」

 「逃すか!!」

 「ハッ……ハミュルーーーーーーーーーーーー!! オルトォーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

  ハミュルとオルトは、お手上げだとばかりに苦笑を浮かべたままリュミアを哀れな目で見つめていた。リュミアは、セシリスが大

きな純白の翼を広げた瞬間に、絶叫しながら青褪めたまま全速力で玄関から逃げ出す。

 「ぎゃあああああああああーーーーー!!!! セシリス来るなぁぁぁーーーーーーー!!!!」

 「リュミア!! 今度と言う今度は許さんぞ!!」

  セシリスもまた、リュミアを追いかけて宙に浮かんで窓から外に飛び出し、背中にある剣を取り出して猛スピードで彼の後を追い

かけた。





ランキングに参加しています。ポチッとお願いします♪



<<Back  Next>>